下痢なのに抗生物質が出ない?

急性なら対症療法
急性の下痢は、最初の2~3日はひどくても1週間程度までに軽快することが多いので、十分な栄養・水分をとってゆっくり休み、家族にうつさないようトイレの後に手洗いをし、タオルは共用しないよう注意しましょう。
その理由として、急性下痢症の大部分がウイルス性で抗菌薬が効かないこと、細菌性でもサルモネラ菌は抗菌薬の投与による下痢・発熱などの有症状期間を短縮させず、カンピロバクターは大部分の症例が抗菌薬なしで治癒するなどが挙げられています。
また、O157を代表とする腸管出血性大腸菌腸炎は、抗菌薬投与により菌から毒素が放出され溶血性尿毒症症候群(HUS)の危険性を高めるという海外の報告もあります。
不必要に抗菌薬を投与すると、正常な腸内細菌のバランスがくずれて感染症を起こし、下痢が長引く可能性もあります。
ただし、血性下痢や、最近海外に渡航した、発熱・血圧低下・悪寒戦慄・ショックなどの症状がある場合は抗菌薬が投与されます。