認知症の心理症状には?

漢方薬の抑肝散
抑肝散は、当帰(トウキ)、釣藤鈎(チョウトウコウ)、川芎(センキュウ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、柴胡(サイコ)、甘草(カンゾウ)が配合された漢方薬です。精神を鎮める作用があり、子どもの夜泣きや「疸の虫」を抑える薬として使われてきました。
認知症の行動・心理症状には暴力、徘徊などの行動症状、抑うつ、幻覚などの心理症状があリますが、抑肝散は興奮性の症状に効きます。鎮静効果のある非定型性の抗精神病薬は効き過ぎるとつまずいて転ぶことがあリますが、抑肝散ではほとんどそのようなことはあリません。
抑肝散の作用機序は、興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の放出抑制、アストロサイトによるグルタミン酸の取リ込みの改善、セロトニン神経系の興奮抑制の作用が動物実験で碓かめられています。
「認知症疾患診療ガイドライン2017」では、抑肝散は、焦燥興性奮や幻覚・妄想などに対して「「実施する」ことを提案する」とされています。